散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

アナザーラウンド

アルコールによる酩酊感にも似た、フィクションへの没入感。そしてまさか、マッツのコレオのすべてを振りほどくべく解放感。鬱屈した日々からの現実逃避と、いざ現実に立ち向かう勇気とがないまぜになった祝祭感に溢れるラストカットへの飛躍。

“アイダに捧ぐ”

実娘との死別を経験したトマス・ウィンターベア自らの救済と、ままならぬ人生への賛歌を謳う。


☆4.0

PIG ピッグ

リービング・ラスベガス』を思い起こす、静謐な映像美に交錯する血と暴力。憤怒、憔悴、そして受容に至る愛の喪失を重厚に演じる。有象無象のB級映画に出尽くしたニコケイのカムバック。自己言及的な“リアル”を物語る渾身の一作に、過去の栄光を再び輝かす。


☆3.9

 

ボーダー 二つの世界

国境、性差、美醜における価値観まで、あらゆるボーダーに隔てられる“普通”の社会から疎外され、虐げられし者たちの孤独や哀しみ、そして怒りのメタファーを異形なる存在の強烈なヴィジュアルに見せつける。カンヌある視点部門らしい怪作。


☆3.2

 

スターマン/愛・宇宙はるかに

夜空に燦然と輝く星々の美しさ。光だ。光が我々の傷ついた心を癒し、未来に希望をつなげる。

絶望の淵に舞い降りたスターマン。亡き夫の“亡霊”は、死への逃避行に愛を宿す。人生に再び光を灯す。喪失を埋める未知との遭遇


☆3.6

 

 

ゼイリブ

私的映画史におけるマイルストーン。まさにレンズを通して世界の見え方が変わる。映画観はもとより人生観をも変えてしまう革命的映画体験。一歩間違えば、“世界の真実”に目醒めた陰謀論者の妄言にも受け取られかねない。『デッドゾーン』とも同種の病巣を抱えるカルト映画。