散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

グーニーズ

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死に触れ、あるいは恋を知って大人の階段を昇る少年たち。そんな普遍性を共有しながらも、誰かの思い出に自分の童心を重ね合わせることができない自明性にまたしても切なさを募らせる──80'sジュブナイルのマスターピースを観ては。それは憧憬であってやはり郷愁ではない。国や文化の違いそれ以上に、世代を越境することの不可能性。肌感覚に刻まれた記憶、その空気感を追体験しようにもどこか、つまるところは他人事なのだ。僕らは僕らの時代を生きることしかできない。


☆3.2

 

 

恐怖のまわり道

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嘘に嘘を重ね、自らの記憶をも捏造して自己弁護を図る“信用できない語り手”のナラティブが、存在の不確実性を漂わせるある種のサイコスリラー。
考えれば考えるほどあやふやになっていく自我は深いノワールの影に、真実は霧の中へと消えていく。


☆3.1

スパイダーマン:スパイダーバース

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何度だって立ち上がる──。

それは僕たちがただ一つの、しかしいくつもの可能性に溢れた人生を戦い抜く決意。そして誰もがみんなスーパーヒーローになりうることの証し。

スタン・リーからのラストメッセージ

"THAT PERSON WHO HELPS OTHERS SIMPLY BECAUSE IT SHOULD OR MUST BE DONE, AND BECAUSE IT IS THE RIGHT THING TO DO, IS INDEED WITHOUT A DOUBT, A REAL SUPERHERO."


☆3.8

 

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ

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見せない演出が畏敬なる存在を実現させた前作から打って変わって、冒頭よりその全長を現し、怒涛の怪獣歌舞伎を繰り広げる今作においても、その神秘性は揺るがず。愚かで無力な人間に対する圧倒的な、あるいは神話的な存在として再誕するGODZILLA

自然を支配の対象とする西洋的な考えとは対立するはずの東洋的な、あるいは土着信仰的な文化へのリスペクトが根底に流れる今シリーズのゴジラ愛。

その愛によって成されたまさしく異文化コミュケーションの産物。分かり合えずとも触れ合おうとする人類の祈りが、芹沢博士(ケン・ワタナベとしてのベストアクト)とゴジラに、人間と神、その共生の思想にスクリーンを通して重なり合うとき、思いがけず溢れる涙。


☆4.2

 

シャーク・ナイト

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ダセぇハードロックが無感情に鳴り響く。

全くもって無意味な、しかしだからこそ有意義な、こんなダウナーのどん底にもたらされる束の間の安らぎ。

疲れた心身に沁み渡る激辛グルメのような、刺激物への欲求。ジャンクムービーの極北、サメ映画を摂取する。

“あの頃”と同じように。
そう『スネーク・フライト』然り、こんなヘンテコ映画こそがイヤな思考を止めてくれる。夜を忘れさせてくれる妙薬だった。


☆3.0