散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

地球の静止する日

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未知への好奇心。
無知への誠実さ。

それらつまり理性的な態度で異文化を乗り越えられるならば、平和という概念もいつかは実現するやもしれぬ。しかし現実は、力と力による均衡、あるいは侵略による統治の成れの果て。大いなる力の庇護にある、つまりは大いなる恐怖の支配下にあり続ける人類史。神であれ、核であれ。自ら高次の存在を生み出し、その知性、科学技術をもってすれば得られるはずの自由も、なぜか手放そうと躍起になるマチズモの論理。そして拡散する憎悪、疑心に包まれる世界は滅びの道をゆく。実に理不尽な知的生命体。語義矛盾も甚だしい、臆病な猿たちの縄張り争いである。まことに、猿の惑星である。


☆3.0

フリクリ

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青い芥子の花びらが風もなく揺れてたら──。

それは、いつか失くしてしまったはずの情景が鮮烈に蘇るビートに、連なるメロディ。さわれないその記憶。だけど偽物じゃないその光。街色の蜃気楼が鍵だらけのこの部屋に広がっていく、アンチパセティックな郷愁と──レモンスカッシュ、なっちゃんチェリオの甘味、UCCブラック無糖の苦味を口に含ませて──あの頃の初期衝動が再び。音楽という、ロックンロールというエレクトリックな怪物。黒い翼の天使、あるいはFoolでCoolな道化師。いずれにせよ、私だけの神様との再会。色あせないキッドナップミュージックのリバイバル

「ONE LIFE」
「ハイブリッド レインボウ」
「Little Busters」
「CRAZY SUNSHINE」
「Blues Drive Monster」
「カーニバル」
「Funny Bunny」
「Last Dinosaur」
「I think I can」
「Ride on shooting star」

それは、黒々と溜めこまれた焦燥。真っ赤にエレクトする欲動。溢れちゃう……リビドーの、暴発するカオスの乱射。爆発する芸術として。虚構も現実もウソもホントも一緒くたに、悩めるままに躍らせるロックンロールと共鳴する荒唐無稽なアニメーションの躍動。音楽とストーリーとアニメーションの三位一体が謳いあげるティーンエイジ・ギア、フルスロットル。青い欲望(ハート)に火をつけて。たとえ世界の全部を敵に回そうとも、全部の悲しみを引き受けようとも、キミとキスして笑いころげる。終わらない日常の、エヴァーグリーンに見た景色。

キミの夢が叶うのは
誰かのおかげじゃないぜ
風の強い日を選んで
走ってきた

一言一句、忘れてなんかなかったっスよ。


☆4.2

Funny Bunny

Funny Bunny

  • provided courtesy of iTunes

デトロイト

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人類史の開始と共に続く混迷、止むことのない“自由か死”の戦争。
白も黒も、イエローもない。肌の色に問題の本質があるわけではない。権力と暴力による支配構造に安心を得る、哀れな神経症の猿の生態に違いない。それが彼らのサヴァイヴなのだから。
なくなることはない。時代が変わればマイノリティを入れ替えて、差別の歴史は続いていくのだろう。

という絶望、そして怒りの感情に支配される2時間強の映画体験。
キャスリン・ビグローをしても見出せなかった希望、あるいは彼女の力をもってして映し得てしまった憎悪がさらなる分断を加速させかねない問題作。
友と敵を繋げるはずの芸術が、友と敵を分ける現実に屈する無力感に打ちひしがれる。


☆3.5

予兆 散歩する侵略者 劇場版

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「どうせ世界は終わる。私も消える。だから」と涙を流して運命に身を投げたロマンティシズムと対応するように、世界の終わりはつまり死の恐怖が生への渇望をもたらすアナザーストーリーによって、補完される愛の“概念”。

死という概念に呪われた人間という種の、集団的な現実逃避。あるいは現実に立ち向かうための拠り所。それは虚構。


☆3.7

散歩する侵略者

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愛とは何か──。

定義し得ないが、しかし確かに存在し、図らずとも実践さえしてしまう“概念”。言葉にせずとも、ならずとも、暗黙のうちに通じ合う。人間を人間たらしめる最も崇高な上位概念とされる願い。

人間とは何か。

ならば愛の僕。愛に救われ、滅ぼされ。もうすでに“概念”に侵略を許した生き物であった。


☆3.9

ペット

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また朝がやって来た
太陽の光が目に眩しい
心も体も思うように動かない

そんな時、君を見つめる
それですべてが動きはじめる
君を見つめるただそれだけで
僕らの未来は大丈夫だって

素敵な一日がはじまる
素敵な一日がきっと
この愛おしさよ
この素晴らしき世界よ

「Lovely Day」 - Bill Withers


☆3.0

Lovely Day

Lovely Day

  • Bill Withers
  • R&B/ソウル
  • ¥200
  • provided courtesy of iTunes

ディヴァイド

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一人の美女に向けられる醜悪な眼差し。片時も休まることのない警戒心に宿る、ミサンドリーの眼差し。

またも、世界の終わりの焼き直しに、極限の閉鎖空間に露わにされる人間の本性。
想像力の貧困、とはいえ、二番煎じ、三番煎じと薄まっていく新鮮味の中にも残されたエッセンスの普遍性。


☆3.0