石畳に倒れた男と、男を覗き込み走って立ち去る女のミステリアス。
記憶を失った男と、“生産資本”に過ぎないポルノ女優は人生を取り戻したかった。
元尼僧のポルノ小説家が、この風変りなフィルム・ノワールの語り部。
ニューヨーク・インディペンデント派のハル・ハートリーは、脚本、演出、劇伴まで自ら手掛け、そんなアマチュアリズムが生むスタイルは一目瞭然、無二の風情が漂っている。
『シンプル・メン』ではソニック・ユースの“Kool Thing”に乗せた名ダンスシーンがあるし、今作ではビデオショップでマイブラの“Only Shallow”が流れていたりする。そんなインディー・ロックなセンス。
映画界の片隅の大都会、ニューヨークの路地裏を覗く。
☆Review
(2016/08/24)