散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

アナと世界の終わり

あの、“ライアン・ゴズリングがシリアルを食べてくれない動画”の投稿者が今作のもととなる短編の作者だったという驚き。そしてしばらくしてアップされたライアン自らがシリアルを食べるVine動画が、長編化への志半ばにしてこの世を去った彼への追悼であった…

ペット2

「人生に道は二つ。逃げ出すか、立ち向かうかだ」 愛がゆえに恐怖が先立つも、未知なる世界にいざ旅立たんとする、そして見送るすべての優しい臆病者たちへ。 It's gonna be a lovely day. ☆3.0

懲罰大陸★USA

不公平な搾取構造で私腹を肥やす一握りのブタどもに、理不尽な暴力に権力を振りかざすイヌの群れ。そして不都合な真実から目を背け続ける家畜以下の奴隷根性によって、繰り広げられる果てなきデスゲーム。 いや動物になぞられえるのも失礼な、極めて人間的な…

ピーターラビット

それは『トイ・ストーリー』にだって重ねられそうな王道のプロット、ある種の貴種流離譚を思わせぶりながら、湿っぽかったりエモかったりするハイライトシーンに限ってはダイジェスト版でお送りしてしまう小気味よさこそが今作のみそ。 ディズニーマナーに反…

オーヴァーロード

銃声、悲鳴、うめき声と、戦争映画の残酷描写がゾンビ、スプラッター映画のそれにオーヴァーラップしていく不気味。からの、なんなら超人ものアクションのようなケレン味すら相まって、終わってみれば満腹中枢高めのおもてなしポップコーンムービー。超B級ジ…

シャザム!

個人的には『キック・アス』、『スーパー!』以来のヒーローコメディのスマッシュヒット。本家DCユニバースから決定版の登場。かつ、誰かの幸せを想うクリスマス映画の名作リスト入り。 『グレムリン』や『グーニーズ』といった80年代は往年のスピルバーグ映…

ゾンビランド:ダブルタップ

“忘れえぬひと”を想って。 10年経っても相も変わらず、しあわせな悪夢にうなされる“月曜日”の憂鬱。10年越しの続編にもかかわらず代わり映えしない、なんちゃって家族のロードムービーに救われてしまう秋の夜長に。 偏屈な臆病者の、そのリスト的思考に刻ま…

ジョーカー

ヒース・レジャー扮するジョーカーのカリスマとはある種の崇高ささえ抱かせる絶対悪であったのに対し、言ってしまえば落伍者の逆恨みに過ぎない今作はホアキン・フェニックス版ジョーカーに向けられる共感、あるいは同情のまなざし。経済格差、不寛容はびこ…

ワイルドライフ

14歳──。少年は大人になる。 それは惨めな男の、生々しい女の性を目の当たりにしてしまっては戸惑い、傷つき、けれども強くなるための第一歩。父も母も決して完璧ではない、彼らも一人の人間であることを、そして自分もまた一人の人間として早晩自立していか…

おかえりモネ

「何もできなかった」という無力感と、幾ばくかの疎外感。だから「誰かの役に立ちたい」と願うばかりの“きれいごと”をそれでも生きる他ない若者たち。自分の幸せを生きられない、そんな贖罪の人生を救うドラマとしてこれ以上ないほどの共感を日々数えた。『…