散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

甲鉄城のカバネリ 海門決戦

『進撃の巨人』の雛形より、巨人をゾンビの群れに置き換え、“壁”に囲まれた人類の戦いを描くダークファンタジー。 そのグロテスクは、現代的な、あるいは普遍的な人類の愚かしさ──無理解、拒絶、疑心、戦争、憎悪──その根底に巣食い、増殖する負の感情、つま…

テセウスの船

10話にわたり「テセウスの船」という哲学的問いを託されていたはずの主人公が、まさか一人称ごと入れ替わり、その眼差しと矛盾の対象とを反転させてしまうクライマックスに鳥肌を立てる。 それはタイムスリップという題材に内在される、記憶についての物語。…

ランペイジ 巨獣大乱闘

それでも人は救うに値するか……という葛藤を人知れず乗り越え、命をかけて戦う“漢”たちの熱き友情に心打たれる。 今や稀代のアクションスターとして、ハリウッドの世界においてもその王座に君臨するロック様──史上において最も対象年齢の広い(≠知能指数が低…

ふりむけば愛

アメリカという遠い異国の地を。古き良き昭和ノスタルジーを。そして、母の過ごした青春の日々を──。知り得るはずのない郷愁に憧憬が、映画を通してこの胸にあふれる。 ニューシネマの傑作『卒業』より十年。カウンターカルチャーは終焉を迎えて久しく、今や…

ホームカミング

たとえそれが苦痛と不安と後悔の日々であったとしても、過去を奪われることは未来をも奪われることに等しい。 記憶の空白はいつまでも人生に暗い影を落とし続ける。悲劇なき人生は、つまりワイドスクリーンにありうべき世界の風景の半分を失う。 あるいは不…

カーニバル・ロウ

ダークファンタジーに寓意を託す様式美。露わなエロスやグロテスクの表現は『ゲーム・オブ・スローンズ』が押し広げたコードに倣う。 ★3.0