散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

エスケイプ・フロム・トゥモロー

ディズニー非公認のゲリラ撮影という触れ込みをもってして、カルトムービーになり損ねた本作もまたB級映画の有象無象。リンチやノーランやダーレン・アロノフスキーのようにはなり得なかった男の、卑俗な妄想に付き合わされること90分のめくるめく“悪夢の王…

ザ・メニュー

キャスティングの妙。ありきたりなジャンル映画のB級プログラムを、レイフ・ファインズの品格とアニャ・テイラー=ジョイの眼差しがウェルメイドな一流コースメニューへと仕立てあげる。古典ミステリーのような深い味わいに、頓知のような鮮やかなオチの乙な…

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム

大義に人生を捧げるか、否か。先人たちの葛藤を軽やかに止揚し、そのどちらでもない選択肢を生きようとする新世代ヒーローのあっぱれ。自己犠牲なる病から完全に解放されたかに見える明朗快活な青年と、愉快な仲間たちとの青春群像に心を温める。壮大なシリ…

ロスト・アイズ

『ロスト・ボディ』からの『ロスト・アイズ』。主演女優つながりで、共にスパニッシュ・スリラーの良作。 盲目のヒロインというある種の定型に加え、進行性の病に侵されていく不安感、閉塞感を画面の視野狭窄に表す恐怖演出。“見えない”という絶望と隣り合わ…

アベンジャーズ/エンドゲーム

大義をかけた戦いに終止符が打たれることはなく、やはり正義が悪を真に打ち負かすことなどあり得ない。敵を滅ぼすことでしか勝利できないゲームのもとでは、闇に光を当て、光は影を落とす、その繰り返しでしかない。あまりに虚しく、悲しく、あるいは不毛な…

元カレとツイラクだけは絶対に避けたい件

高所、閉所恐怖症的な圧迫感と何かしらのトラウマ的残像が呼び起こされる悪夢のワンシチュエーション。動悸、息切れ、この胸の高鳴りは吊り橋効果どころの騒ぎじゃ済まない、ヒコーキ墜落5秒前……。 おもしろ邦題の成功案件。 ☆3.2

ホラーマニアvs5人のシリアルキラー

一夜の巻き込まれ型サスペンス、っていうか自ら巻き込まれていくスタイル。ゴアとロマンを詰め込んだ、映画オタクの悪夢的妄想。80sジャーロへの郷愁だとすれば、ギラギラ照明や音楽の意匠に限らず、恐怖がコメディに変態する倒錯した世界観が現在のジャンル…

キャプテン・マーベル

出しゃばるな。感情的になるな──。など、差別的なつもりでなくとも社会規範の如く内面化してしまってきた抑圧、女はかくあるべしという刷り込みをことごとく覆していくグランジガール。怪訝なまなざしを向ける群衆を割って闊歩する様の痛快なことよ。 フェー…

アントマン&ワスプ

超ヘビー級のアベンジャーズ最終章を繋ぐ箸休めとして、実に小気味よくヘルシーなアクションコメディの“小品”。ミニミニ大作戦。正義を謳うがゆえの闘争もなく、親子愛を軸に誰も悪者にしない牧歌的かつ、ヒーローの本質に改めて回帰するかのようなピュアで…

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー

最大多数の利益のためなら、多少の犠牲はやむを得ない。救済の名を借り大量虐殺を正当化する。それも一つの正義、あわや“一理ある”と思わせかねない合理主義的なリアリティの化身。その普遍的かつ極めて同時代的なスーパーヴィランへの危ういシンパシー。対…

マイティ・ソー バトルロイヤル

マーベル印のコメディタッチに輪をかけてオフビートなタイカ・ワイティティのギャグセンス、キャスト陣の内輪ノリに全くついていけず、ただ「移民の歌」がけたたましく鳴り響く神々の戯れを冷めた目で傍観する。トラッシュな男たちのブロマンスよりも、豪胆…

ペリフェラル ~接続(コネクト)された未来~

ウィリアム・キブスンの原作より、ヴィンチェンゾ・ナタリ×クロエ・グレース・モレッツのSFドラマシリーズ。テクニカルターム連発で難解げなハードSFの大風呂敷を広げるだけ広げてシーズンをまたぐアマゾンスタジオクオリティ。らしい、嫌らしい映像表現は影…

シャークネード

かくも人の命は軽く、サメは空を飛ぶ。CGは安っぽく、カットが前後で繋がらない云々はまるでエド・ウッド的な荒唐無稽(ちがうか)、しかしながら映画愛という事ですべては許されるべく現実逃避に興ずる。ついに来るところまで来たかという感慨。1+1がぴった…