散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

アベンジャーズ/エンドゲーム

大義をかけた戦いに終止符が打たれることはなく、やはり正義が悪を真に打ち負かすことなどあり得ない。敵を滅ぼすことでしか勝利できないゲームのもとでは、闇に光を当て、光は影を落とす、その繰り返しでしかない。あまりに虚しく、悲しく、あるいは不毛な相克が続く。虚構の無力。結局は力の論理に回収される残酷なリアリズムに対し、想像力の敗北を思い知る。

10年に渡り時代を牽引してきたMCUシリーズの集大成。映画史を更新する“アッセンブル”の大スペクタクル。だからこそ、歴戦のヒーローたちが成し得なかった“終戦”の風景に、アメリ近現代史、ひいては人類史をさらなる高次へと導くテーゼを示してほしかったというのは、映画に夢を見過ぎだろうか。


☆4.0