散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ルシアンの青春

戦争は少年たちの恋する季節を奪い、恋を経て大人になるはずの無垢に“ピストル”を持たせる。愛を知る前に力を手にしてしまった“悪党”たちの、悲しき青春。 ☆3.8

地球の静止する日

未知への好奇心。無知への誠実さ。 それらつまり理性的な態度で異文化を乗り越えられるならば、平和という概念もいつかは実現するやもしれぬ。しかし現実は、力と力による均衡、あるいは侵略による統治の成れの果て。大いなる力の庇護にある、つまりは大いな…

フリクリ

青い芥子の花びらが風もなく揺れてたら──。 それは、いつか失くしてしまったはずの情景が鮮烈に蘇るビートに、連なるメロディ。さわれないその記憶。だけど偽物じゃないその光。街色の蜃気楼が鍵だらけのこの部屋に広がっていく、アンチパセティックな郷愁と…

デトロイト

人類史の開始と共に続く混迷、止むことのない“自由か死”の戦争。白も黒も、イエローもない。肌の色に問題の本質があるわけではない。権力と暴力による支配構造に安心を得る、哀れな神経症の猿の生態に違いない。それが彼らのサヴァイヴなのだから。なくなる…

予兆 散歩する侵略者 劇場版

「どうせ世界は終わる。私も消える。だから」と涙を流して運命に身を投げたロマンティシズムと対応するように、世界の終わりはつまり死の恐怖が生への渇望をもたらすアナザーストーリーによって、補完される愛の“概念”。 死という概念に呪われた人間という種…

散歩する侵略者

愛とは何か──。 定義し得ないが、しかし確かに存在し、図らずとも実践さえしてしまう“概念”。言葉にせずとも、ならずとも、暗黙のうちに通じ合う。人間を人間たらしめる最も崇高な上位概念とされる願い。 人間とは何か。 ならば愛の僕。愛に救われ、滅ぼされ…