散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

アンダン ~時を超える者~

到底、受け止めきれない悲劇の記憶は、その感情と共に心の奥底に仕舞われる。トラウマとはそう、忘却を装って存在し続ける、無意識下に影響を与え続ける、現在という現実に過去の幻影を混在させる進行性の悲劇である。 保存された悲劇をゆっくりと溶かしてい…

おとなの事情

秘密。つまりは信頼によって築かれた特別な関係性が、さらなる秘密の現出によって崩壊していく──このまったくの無常に抵抗する術は、沈黙の他にないのだろうか。 真実が不幸をもたらすと言うのならば、幻想を共に演じようか。それが愛であり、友情であり、幸…

サボテンの花

恋のロマンティークはその終わりとて美しく、その絶望とて甘い蜜の味。なんてキュートでスウィートな。チャームの塊のような、“ピクシーガール”の自殺未遂にはじまる恋のから騒ぎ。恋はスクリューボール・コメディ。 愛とは人生のすべてを捧げることを言うの…