2019-12-01から1ヶ月間の記事一覧
めくるめくワンダー。摩訶不思議アドベンチャー。未知への想像は、時空を超えたスペースファンタジーへの夢を広げる。 『フィフス・エレメント』の再構築。まるで『スター・ウォーズ』的世界観。それもそのはず、それらSF映画の金字塔の、創造の種は本作の原…
愛なき力はただの暴力。目を覆うばかりのグロテスク。それは、闇に紛れた野蛮な秩序が可視化されたに過ぎない光景。厳然として存在し、我々自身にも内在し、誰もが傷つき傷つけ合う人間の本質が戯画化されて浮かび上がる。 いつの世も、闇が世界を覆い尽くさ…
風をとらえて、カイトは空へと舞い上がる。風をとらえて、ヨットは荒波をかき分けて進む。 冷たい風が頬をかすめる。風の愛撫が涙をぬぐう。 幼き心を運ぶ風。優しくあるように。逞しくあるように。 ☆3.6
「愛とは決して後悔しないこと」という名訳の本来の台詞は、"Love means never having to say you're sorry." 愛は、ごめんなさいを必要としない。 それは、“ラブ・ストーリー”。これは、ラブ・コメディー。とて、ラブストーリー。“ある愛の詩”には違いない…
西部劇とヴァンパイアムービーのフュージョン。カントリーを打ち消すエレクトロニック・ロックの不穏。“夜を聞いた”ような、エレキやシンセサイザーの音像が町を揺らめく。怪奇映画に正統な夜の陰影。目がくらむほどの闇と、闇に燃え盛る炎の絶景。闇に差し…
"FORCE"を"HOPE"と読み替えた『ローグ・ワン』を踏まえて、その再定義を確固たるものにすべくカノンに訪れた分断のとき。新旧の接合を図り、“新たなる希望”を見事に引き継いだかに見えたエピソード7への喝采は、賛否両論、大論争の渦と成す。まさに、聖典を…
優雅なショパンの調べにのせて、ひたすらに空転する絵画的な、演劇的なカオスが眠気を誘う。芸術という名の愛か退廃か。狂信者たちの、まるで野獣の咆哮がまどろみの中に……そよ風に揺られるように……閉じた瞼の向こう側に広がる。神々しいまでのソフィー・マ…
「人生が物語(ロマン)と違うだなんて、悲しいわ」 彼女に恋をして、映画に恋をした。アンナ・カリーナへのゴダールの眼差しを借りて、叶わぬ愛の変遷を辿る。叶わぬ愛の思い出を投影する。映画と共にある人生の第二幕はこの『気狂いピエロ』に始まった。 僕…
知恵を有することで安寧を捨て、自由を手にした人の道には、絶えず“不都合な真実”が横たわる。宇宙という闇に包まれたこの星で、あるいは夜の闇が世界を覆う時の中で、人は本来的に邪悪を有する生き物であるという自明の理。善と悪の対立は神と悪魔のそれな…
セックス、ドラッグ、ロックンロール……フラワー・ムーブメントに極まれる恍惚の誘い。“いちご”のように甘く、打ち上げ花火のようにド派手に、そして儚く散る、一夜の夢のように。まるで終わらない学園祭、モラトリアムを最大源に引き伸ばしたカウンター・カ…
フィロソフィー。それはポエティックス、それはポリティクス。あるいはポルノグラフィー。ペテンの言葉遊び。取るに足らない平凡の悦楽。 美しい言葉と音楽の韻律が、悪魔のささやきのごとく、愚かな正直者たちを異端に走らせる。 「Run」 それを「走れ」と…
地上より緑は消え、空の青は消え、波打ち際に響く笑い声も、鳥の歌声もない。人生の夢も希望も、そして愛も──。 枯れ果てた褐色の大地に、荒廃する人の心。力こそたった一つの正しさとばかりにそこはまるで西部劇のように殺伐とした、あるいは人間性を失った…
美女と野獣たち。 “フリークス”たち旅芸人の一座にまた一人仲間入りする“愚か者”は、あの『タクシードライバー』から僅か4年、まだ少女のあどけなさが残る若き日のジョディ・フォスター。 美女を映し得れば映画たり得ることの証左を見る。 ☆3.2
夜のハイウェイ。無数にすれ違うヘッドライトの明滅がカーステレオのフォークソングにビートを刻む。恍惚への誘い。ヒッピー・ムーブメント、若者革命の時代、怒れる若者たちの、哀れな反逆児たちの挽歌に揺れる。 Like a Rolling Stone.転がる石のように。 …