散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

ヴァレリアン 千の惑星の救世主

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めくるめくワンダー。
摩訶不思議アドベンチャー
未知への想像は、時空を超えたスペースファンタジーへの夢を広げる。

フィフス・エレメント』の再構築。まるで『スター・ウォーズ』的世界観。それもそのはず、それらSF映画の金字塔の、創造の種は本作の原作にあり。『アバター』の技術的ブレイクスルーを経た後、ついに結実されたレトロフューチャーリュック・ベッソンの悲願、集大成とも言える、愛にあふれた一大巨編。

デヴィッド・ボウイの「Space Oddity」がオープニングを飾り、エンディングテーマをファレル・ウィリアムスが書き下ろす。さらには、ハービー・ハンコックが、リアーナが、と、音楽界から新旧レジェンドたちの共演が映画を一層ポップに彩る。

実に“カラフル”な本作において、多様性の時代を象徴するカーラ・デルヴィーニュの佇まいは、原作と現代性の一致点を繋ぐべく存在する、“プリンセス”を否定するヒロイン像。冒険活劇におけるヒロインが対等な関係としての即ち“相棒”であれば、ロマンスはバディムービーに近似するという再発見とともに、「愛とは信頼」なんて使い古されたメッセージも彼らは飄々と語りうるのだ。

幾千の物語、幾万のラブソングに語り継がれた至上の価値。歴史を鑑みれば、取るに足らない一本の映画に違いないとしても、それが愛という名の意味を問う限り、語ろうとも語ろうとも語り尽くすことはないのだろう。


☆4.4