散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ペット

また朝がやって来た太陽の光が目に眩しい心も体も思うように動かない そんな時、君を見つめるそれですべてが動きはじめる君を見つめるただそれだけで僕らの未来は大丈夫だって 素敵な一日がはじまる素敵な一日がきっとこの愛おしさよこの素晴らしき世界よ 「…

ディヴァイド

一人の美女に向けられる醜悪な眼差し。片時も休まることのない警戒心に宿る、ミサンドリーの眼差し。 またも、世界の終わりの焼き直しに、極限の閉鎖空間に露わにされる人間の本性。想像力の貧困、とはいえ、二番煎じ、三番煎じと薄まっていく新鮮味の中にも…

クワイエット・プレイス

得体の知れない外敵から身を潜め、我が子を守り抜く父と母の戦い。孤立無援。あまりに非力で無防備な、家族という最小単位の共同体で所詮は生き抜くことを強いられるこの世のリアリズムが重なって見える。 世に蔓延る理不尽、あるいは暴力に対抗するべくもな…

ボブという名の猫 幸せのハイタッチ

大都会はロンドンの、孤独という名の無人島の。どん底に転がる人生という名のストーリーに、迷い込んだ一匹の茶トラ猫。(「ツイン・ピークス」のキラー・ボブより)ボブという名のストリート・キャット。 まん丸の両目でじっとこちらを見つめるボブ。見つめ…

メアリー&マックス

"LOVE YOURSELF FIRST" そうは言っても、愛を知らない。愛し方がわからない。愛されたこともない。涙も出ない。こんなに悲しいのに。どうしてこんなに寂しいのに、僕らはみんな独りぼっち。一人一人、別々の道。騒々しく、悪臭漂う人混みの、無秩序な町を行…

グッド・オーメンズ

フラット化を要請する社会では、対となって先鋭化する思想が緊張を高め合う。あらゆる二項対立は原理主義化。行き過ぎた正義が正義でなくなるように、極端な右も左も同じであるように、いつしか対立と勝利こそが目的化。人間の本質的な欲望、本音をさらけ出…

ギヴァー 記憶を注ぐ者

物語に紡がれる。数えきれないほどの、確かにこの世界に存在した“愛”の記憶。表裏一体にある残酷の、苦悩の、憎しみの、痛みの、喪失のフラッシュバックを一筋の涙に閉じ込めて──。 きよしこの夜。“愛”が未来を灯す希望の言葉でありますようにと、聖なる夜に…

search/サーチ

全編、パソコンの画面上で話を展開させるというワンアイデアに終わらせない巧みなプロットが、サスペンスフルなストーリーに人間ドラマを立ち上がらせる。鮮やかな伏線回収もさることながら、父泣き映画の評判に違わない感動が待っている。 まさかカーソルの…

アンフレンデッド

終始、MacのPC画面そのままの動作が擬似的に演出され、視界に捉えるFacebookやSkypeのポップアップやチャットの文字を目で追わされるうちに、映画を観ているはずが、まるでPCをいじっているようだとは言わないまでも、Youtubeで適当な動画を眺めている程度の…

ブラック・ハッカー

常時、ネットワークに繋がったままのPC画面上でストーリーを進行するとなると、これほど脆弱な媒介はなく、映画における見る見られる関係もあっという間に反転する。 視線は誘導され、情報はいくらでも偽装され、そもそも世界の全ては四角形の枠を出ない。そ…

眠れる美女

人は愛によって自由から遠ざかる。愛という自由意志によって、自由を放棄する。その限りにおいては、如何なる悲劇も美をもって語りうる。語りうる人生への希求、愛の欲求。それは誰もが望まざるも生まれ落ち、“目覚める”運命を受け入れるにあたって、侵され…