散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

ボブという名の猫 幸せのハイタッチ

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大都会はロンドンの、孤独という名の無人島の。どん底に転がる人生という名のストーリーに、迷い込んだ一匹の茶トラ猫。(「ツイン・ピークス」のキラー・ボブより)ボブという名のストリート・キャット。

まん丸の両目でじっとこちらを見つめるボブ。見つめられるボクの人生は浮上をはじめる。

人間は見られることで変わっていく生き物。誰かに見られていることで頑張れる、見守られることの安らぎに心の傷も癒される。他者との交わりの中で自己を見出せる。人の目が人を生かす社会的な存在である。

決して“ノラ”では生きられない我々にとって、ペットはもはや家族と同等かそれ以上。その眼差しには、人間と同等かそれ以上の関係も結ばれる。
ベストフレンド、ソウルメイトと呼ばれるように、彼らこそ最良の友にして、最大の理解者たりえる。人と人とがディスコミュニケーションの時代において、物言わず、ただ寄り添う者の尊さが浮かび上がる。

言い換えれば、ただそれだけで人は生きていける。世界は美しく、音楽は鳴り響く。ストーリーは続く。人生という名のストーリーを書き上げてもみせる。
そのことを思い出させてくれる幸せのハイファイブ。まるで天からの使者のよう。

静かなる、聖なる夜の。
「ハッピー・キャッツマス!」


☆3.7