この世に厳然と悪は存在し、救いきれない命というものがあり、そして絶えず悲劇は繰り返されているという、どうしようもない悲しみと怒りに震える。
その業とも言うべき人間の罪を、背負い過ぎるあまり病んでいく心。その陰鬱な心象風景と重なるかのごとく静やかな北欧の映像詩が、それはなんとも美しいという世界のアイロニーを映し出す。
光と影に物語られる、善と悪の二元論。
善であるがゆえの堕落。純粋ゆえの狂気。あるいは正義という純粋性もまた表裏一体の“信仰”に他ならないならば、その対立がまたしても悲劇を生み出し続ける皮肉。
悪魔もかつては天使だったように、そして復讐の人生が始まるように。悲しみの連鎖に、それでも身を投じることでしか果たせない正義という名の世界の病理が浮かび上がる。
新たな監督を迎え、テーマ主義的な趣向を色濃くするシリーズ第3弾にして、三度、傑作。
☆4.3