心優しき殺人鬼の感傷に触れ、一方、ヒーローの愛が世界を救う。
そんな風に衆愚なワイドショー化の図式で、正義と悪にレッテルを貼り分ける駄作。映画化にあたりスポイルされてしまった、原罪的な実存の問い──。
善も悪に同じ、自らの存在価値を実感しようとするエゴに変わりなければ、その対立も人間の証明に違いない。
耳をつんざく罵詈雑言、恐怖におののく悲鳴、涙で溢れるこの世界の普遍の悲しみを知ってしまっては、世界の片隅で愛に泣き叫ぶけもの。
つまり僕らはモンスター。
独りぼっちのモンスター。
底なしの深い暗闇から、
見上げた空にワンスター。
☆3.0