散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

シンクロナイズドモンスター

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色恋沙汰と世界の終わり。
同監督作『エンド・オブ・ザ・ワールド』でも見られた奇想天外なジャンル融合、予定不調和なストーリー展開、再び。

嫉妬や劣等感、肥大化した自我のメタファーとして、まさに巨大化した“モンスター”と対峙する砂場の箱庭表現は、無意識下に眠るトラウマまたは社会的抑圧を克服するための、文字通りの心理療法的なアプローチだと解釈すればできなくもない、実は普遍的な再生の物語だと言ってしまえばそうなのだが──。

特筆すべきはそんなことではない。それどころではない、ここにきてキャリアハイのチャームを魅せる、アン・ハサウェイに首ったけ。
それはジェンダー論にかこつけた可愛いは正義の眼差し。“ちっぽけな世界”から画面を通して覗かれる虚構へと、持て余した愛を注ぐだけの憐れな男たちへのシンクロナイズ。


☆4.0