散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

死霊のはらわた

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死霊のはらわた』のリメイクという、どうやったって冷笑に終わることが目に見えている無茶な企画で、まさか一定の成功を収めてしまったフェデ・アルバレスの手腕にまずはアッパレ。後に『ドント・ブリーズ』で脚光を浴びるのも納得の快作が長編デビュー作にして既に存在していたのだ。

スプラッターホラーでありながらコメディーでもある塩梅が本オリジナル版の肝であるが、怒涛のゴア描写がハードコア化するリメイク版においてもユーモアのセンスは失われておらず、つまり野蛮なグロテスクにも知性を垣間見ることでその娯楽の創造性を確認し、悪趣味を享受することができる。

白眉はやはり何と言っても、血の雨に染まるクライマックスだろう。この振り切れ様、恐ろしさに美しさを見紛う恍惚なんて。それも笑みを浮かべながらだ。

当初のキャスティング通り、リリー・コリンズの“悪魔”も見てみたかった気もするが、絶対にこうはならなかっただろう……なんとチャーミングで、“グルーヴィー”な力作か。


☆3.3