2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧
オールドメディアからSNSに至るまで言論統制を強めるロシアその国内における「世論」のコンテクストを読みきれない外国人にとって、今作のような大衆映画が社会風刺たりえるのか、はたまたプロパガンダ的であるのかは見立てがつかない。 映画は常に時事性を…
恋に仕事に、すべてを失った男の誇大妄想、“負け犬”の復讐戦をまるで“最悪”でも“残虐”でもない、こんなにも愉快なバディムービーに仕上げてしまうんだからさすがのマーベル印。(きちんとルーベン・フライシャー映画とも言える) トム・ハーディとミシェル・…
第一に、このような悲劇に見舞われてしまう恐怖。第二に、危うく共有してしまいかねない好奇心。考えうる限り最悪の悪夢と、抗おうにも逆らえない人間のおそらくは本来的な欲望。人生にまとわりつく最大のオブセッションと言っても過言ではないような心象風…
DCEUのマーベル化という悪手。シリアス路線の賛否はあれど、スーパーヒーローの苦悩は世界の混沌と深い闇を、それゆえ希望の閃光をコントラスト鮮やかに描けたものを。 真価はスナイダーカットに。 ☆3.1
キアヌ・リーヴスという役者の二面性、あるいは本質について外すことのできない「ビルとテッド」シリーズ第二弾。 不屈の楽観主義者か、度が過ぎたおバカか。やはり白痴こそが真実を語るのか、 “BE EXCELLENT TO EACH OTHER” との至極賢明なメッセージに感銘…
忘れられない記憶とともに忘れたくない思い出がある。どんな悲しみにも愛おしさを孕む、そんな過去を、故郷を、捨て去ることが大人になるということならば、ぼくらは一向に子どものままで構わない。誰より“ルーザーズ”の誓いを胸に、見果てぬ悪夢と戯れなが…
『吸血鬼』の息を呑むような美しさと、一転してとびっきりのコメディエンヌを魅せる今作の愛らしさでもってシャロン・テートの名は映画史に刻まれるのだ。いつまでも色褪せない、スクリーンの中に生き続けて。 ピース。 ☆3.1
60'sハリウッドへの郷愁。そんな“古き良き時代”への挽歌とともに、誰もがぬぐい切れず、歴史に暗い影を落とし続ける惨劇の記憶を虚構の光で“リライト”する。救済を施す、あるいは神の視点から世界を再構築する映画という魔法。そして現実を超えうる夢への信…
非映画的なモノローグはもはや言わずもがな、しかしそれゆえ滔々と語られる清廉潔白な言葉の数々、その力強さに胸を熱くするのも事実。普遍的かつ、より現代に正しくあるべく痛切なメッセージ。あるいはファンタジー。ノスタルジーに浸りきったこの国の無意…
出会いはいつかの別れを意味する。喜びの数だけ悲しみも募る。不安と痛みと孤独の日々だ。だけど、それでも生きている。限りある今日を生きていく。悪い日ばかりの人生じゃないって、大切なことはぜんぶ君から。 ありがとう。ごめんね。さようなら。またね。…
まだあたたかい愛犬を腕に抱いて歩いた帰り道、黄色い小さなチョウチョがひらひらと、涙を横切りそして飛んでいった。天国でも転生でもいい、奇跡とか運命だとかっていう優しい嘘を心より信じた。彼女の来世が安らぎと愛に満ち溢れたものであることを願った…
記憶を物語り、思い出とする。少し楽しげにも映るそれはある種の自己肯定にも思えた。決して戦争を正当化するわけではないが、そう語る他ない彼らの“青春”の風景が鮮やかなカラーでよみがえる。通過儀礼というにはあまりに残虐な、しかしやはり刹那に美しい…
サメが飛ぶ。どんな憂鬱も吹き飛ばす荒唐無稽。ウェルカム・トゥ・ジャングル?信頼のアサイラムプレゼンツ。 “余分な人生”──そうだ、そうだった。人生なんてちょっとした暇つぶしみたいなもんだもんね。 ☆2.7