非映画的なモノローグはもはや言わずもがな、しかしそれゆえ滔々と語られる清廉潔白な言葉の数々、その力強さに胸を熱くするのも事実。普遍的かつ、より現代に正しくあるべく痛切なメッセージ。あるいはファンタジー。ノスタルジーに浸りきったこの国の無意識下に眠るありうべき相克。夢と現実の表裏一体。夜明けは遠く、過去を超えうることのない未来を生きる若者たちの“ビューティフルドリーマー”。
愛への切望がゆえに憎しみと恐怖によって張り巡らされた“家族”のしがらみを、真の家族の絆によって断ち斬るアニメーションのエモーション。那田蜘蛛山編における、本作の到達点とも思えたクライマックスによもやよもや、勝るとも劣らない今作は煉獄杏寿郎という男の勇姿。未来を「信じる。」と言い切る、その曇りなき眼にはやはりまたしても心救われる。
「胸を張って生きろ。」と。
記録的大ヒットも頷ける、父なき時代の感動作に違いなかった。
☆4.1