散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

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60'sハリウッドへの郷愁。そんな“古き良き時代”への挽歌とともに、誰もがぬぐい切れず、歴史に暗い影を落とし続ける惨劇の記憶を虚構の光で“リライト”する。救済を施す、あるいは神の視点から世界を再構築する映画という魔法。そして現実を超えうる夢への信奉。

映画に恋をした。女優に恋をした、あの頃。やはり『ローズマリーの赤ちゃん』の呪い的な一面として数えられる悲劇の女優。シャロン・テート彼女の、きっとこんなにもキュートでチャーミングな“生”の記憶に今、再び恋をする。

埋もれた過去に黄金を見出し、芸術の名の下に蘇らせる。タランティーノの懐古趣味が決して空虚なものにならない所以、復讐三部作に顕著な、虐げられし者たちに寄り添う人間愛に根ざした映画愛に溢れる。


☆4.0