散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

2019-02-25から1日間の記事一覧

ラスト・デイズ

絶望の病に侵された“ひきこもり”世代の諸君へ。本当の愛や幸福やというものは、暗闇のその先に、恐怖に打ち勝った者だけが目にすることのできる景色。端からこの世界に希望なんてない。まだ見ぬ未来に生み出そうとするそれこそ、人生の営みなんだと。 これで…

耳をすませば

“ひとりぼっち おそれずに 生きようと 夢みてた……” 耳をすませば、今も聞こえてくる音楽、口ずさむ「カントリーロード」。そしてよみがえる“コンクリートロード”、つまり僕らの故郷の風景。帰りたい、帰れない思い出が巡る。 雨のにおい、木漏れ日の煌めき、…

エンド・オブ・ザ・ワールド 地球最後の日、恋に落ちる

よっしゃ、UFO襲来! これで何度目の“エンド・オブ・ザ・ワールド”だろうか。いつまでも世界の終わりを待望している場合だろうかって、迷う間も無く再生しているのだけど。この手のジャンルムービーも、たまに全く思ってもみなかった変化球が飛んでくるので…

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ

「アメリカン・ドリーム」と言えば聞こえはいいが、そこは人々の際限なき欲望と悪意が支配する無慈悲なる淘汰の世界。夢や希望や、理念など掲げようものなら、そんな綺麗事は脆くも崩れ去り、勝利のみに価値は認められる。やったもん勝ち、勝ったもんが正義…

マイ・ライフ・ディレクテッド・バイ・ニコラス・ウィンディング・レフン

芸術性と商業性の折り合いをつけるために、“奇妙”と“普通”の間で収めることを良しとせず、より説得力のある“奇妙”を目指す。その作家主義は誰の目にも明らか。にもかかわらず、観客の反応を人一倍気にするレフンの素顔。 自ら設定するアンビバレントに引き裂…

アナと雪の女王/家族の思い出

大切な誰かを傷つけてしまうことを何より恐れる優しさの弱さ。愛ゆえに人を遠ざけ、心の扉を閉ざして独り消えてしまいたいと願う者の凍りついた心を溶かせるのも、やはりそれは愛なのだ。 アナ雪が再定義した「真実の愛」は革新的であった一方、家族という“…

風の谷のナウシカ

ぼくらは一体いつまで、少女の無垢に世界の希望を託し、または悲しみのすべてをその一身に押し付けて涙する物語に耽溺しているのだろうか。 大人になってようやく気付く。この時代に生まれ、この国の大衆の子どもとして育った者にとってのジブリアニメの影響…

シティーハンター ザ・シークレット・サービス

ハードボイルドという男のロマンにいまいちピンとこず、その語意も掴めずにいた頃に出会したのが、饒舌でスケベなそれもハードボイルドと謳われる──冴羽獠、その男なのであった。 再放送世代。虚構の東京シティーにノスタルジー入り混じった憧憬は抱かれ、閉…

2018年の映画生活ベスト10

1. ブレードランナー 2049“あぁ、見果てぬ悲しみの終末はこんな景色であったかと。天を見上げる男の無表情の表情が語らずして語りうることすべて” 2. メッセージ“既に結び終わった「物語」を。現在とそれ以外、刹那と記憶の点と線を同時に辿る人生である” 3.…

COMET コメット

『ミスター・ノーバディ』と『メッセージ』と『ブルーバレンタイン』と『(500)日のサマー』と『ワン・デイ 23年のラブストーリー』と『ビフォア・サンライズ』と『ラ・ラ・ランド』と『恋に落ちる確率』と……と、嘗て束の間の夢に見た“美しい夜”の数々が、…

LOL 愛のファンタジー

「愛のファンタジー」と言えば『ラ・ブーム』。続編には「恋する瞳」と、珠玉のラブソングがテーマを飾る。あれからおよそ四半世紀──ソフィー・マルソーもとっくに母になって──第三作と言っても差し支えないほどオマージュたっぷり、ムードそっくりな今作の…

あなたの旅立ち、綴ります

まだ何者でもない私でも、“何か”になれることには違いない。“何か”の物語を綴る自分自身に対して正直な日々であれば、私は私でしかない人生、いつも私は最高なのだ。 良い一日を──ではなく、本物の一日を。危険を承知でバカなことをするか、危険を承知でスゴ…

サンタクロースになった少年

サンタクロースになった少年。その名は、ニコラス。 サンタクロースが、“聖(セント)ニコラス”に由来することは、学校の自由研究で題材に選んだ時からもう知っていた。それだけクリスマスが特別な子だった。お正月よりも、クリスマス。誕生日プレゼントより…

ワンダーストラック

時の流れが人々を分かち、また繋いでもいる。そのことを語りうる時間の芸術、映画なのだと──。 映画は映るものすべてに時を与え、時の流れに記憶は刻まれていく。記憶は被写体のそれであり、観客のそれでもある。スクリーンの向こう側で交差する記憶と記憶に…

エブリシング

ガラスの城のお姫さま、星の王子さまと出会う。 ディズニープリンセスみたいに表情をコロコロと、大きな目を三日月にして笑う、愛すべき少女の初恋を画面越しに見守る。 恋とは、命懸けで束の間を生きること。"Love is everything.Everything."そのことを一…

エブリデイ

明日をも見えない毎日に、君に出会って、はじめての感情を知ったあの頃。一度きりの人生、あっという間の一日、この一瞬を片時も逃さずに生きたいと願ったあの頃。最初で最後の初恋がこの世界の美しさを教えて、人生の意味は決まったんだ。 恋が終わっても続…

セブン・デイズ・イン・ハバナ

"ユーマ"とキューバ、男と“女”。クストリッツァとトランペッター。歌と野球と、夢と恋人。カストロ、海辺、待ちぼうけの午後。少女と少女、その肉体の汚れに──。「愛しているわ」と、亡命の朝に。聖母と泉と歌と踊りと、サンテリアの宴。 朝は夕暮れ、夜は昼…

未来を花束にして

"DEEDS NOT WORDS"言葉より行動を。 過激な武力闘争が正しいとは言わないまでも、聞く耳を持たない相手に一体どんな言葉を用いろと言うのか。体制に一石を投じる“先導者”がいてこそ、平和的解決への道も開けるというもの。大きな波紋が広がって、やっと変革…