散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

さびしんぼう

混在する夢とうつつ、現在と過去。生者と死のイメージをモノクロームの影に漂わせながら、交わるはずのなかった恋の“さびしんぼう”がファインダー越しに見つめ合う。 「A MOVIE」と冠されたそのフレームの中で、まさに映画の虚構性にのみ語りうるロマンチッ…

ER緊急救命室Ⅹ<テン・シーズン>

涙の数だけ強くなれるよ。また明日、頑張ろう。 ★4.0

映画 聲の形

いつも不安で、いつも孤独を恐れるあまり、過剰な自己防衛で傷つけ合ったあの頃。あの日、あの時の記憶はいつまでも鮮やかなまま。清らかな少年時代を濁らせた波紋が今も心の奥をざわつかせる。 償いきれない罪を背負い、数えきれない「ごめんなさい」を心に…

ER緊急救命室Ⅸ <ナイン・シーズン>

構造的な人種差別や労働問題など、長らく放置されてきた今日的課題をついに是正させるべく声を上げる新世代。若者たちの反乱。しかし皮肉にも、その拙速な変革に招かれる効率化の波は人道主義をなおざりにする。崇高で愚かな信念は、強大な官僚主義に飲み込…

ER緊急救命室Ⅷ <エイト・シーズン>

父性の不在に弱体化する“家族”と、その絆。 世代交代と共にかたちを変えて受け継がれる“家族”の、その思い。 バラバラの子どもたちを襲うさらなる苦痛と失意と悲しみは、しかし彼らの新たなる友情を固く結ばせるかのように。 過ぎし思い出と再会の日を夢に見…

ER緊急救命室Ⅶ <セブンス・シーズン>

でも、走り続ける──。 暗黒の夜空を見上げながら。降りしきる雨にうたれながら。 愛ゆえに憎しみ、傷つき合いながらも、愛ゆえに救うべきすべての命を救うために。 純真なままでは務まらない彼らの矜持よ。 ★4.0

ER緊急救命室Ⅵ <シックス・シーズン>

「ありがとう」そして「愛してる」、その二言に生かされ死んでいく人の一生。 “家族”という繋がりの確かさゆえの苦しみ、愛おしいほどに切ない運命の糸を手繰らせるように。 ★4.5

MEG ザ・モンスター

サメサイズマシマシで、ジェイソン・ステイサムの“アドレナリン”マシマシ。マーケティング規模マシマシで見せ場マシマシ(ゴア描写なし)の挙げ句もはやほとんど味のしないデカ盛りムービー。 バカ映画だなんだと言いながら世の映画ファンがB級、あるいはZ級…

ER緊急救命室Ⅴ <フィフス・シーズン>

「我が家」がいつか「故郷」とその名を変えるとき。 ある者は自分の人生を取り戻すため。ある者は正しくあるため、信念を貫くために。愛がために離ればなれの道を行く友であり、兄弟であり、同志たちの別れの季節。 再会の日を夢見て。今はそれぞれの場所で…

ER緊急救命室Ⅳ <フォース・シーズン>

手を差し伸べることで不安や恐怖を癒やすことはできても、彼らの人生を繋ぎ止めておくことはできない。 “我が家”と呼べる居場所を持ちえず、“家族”と呼べる思いを失い。心の穴を暗い灰色の陰が覆う者たちの夕べ。 孤独ゆえの愛が交錯すれば、愛ゆえの憎しみ…

ER緊急救命室Ⅲ <サード・シーズン>

神の如く御業がたとえ命を救ったとしても、その人生を救うことの意味は別にある。人生を苦難から再び立ち直らせるために必要なもの、それは本人の強い意志の力をおいて他にない。 尊敬する師が、親愛なる友がいくら手を差し伸べたところで叶い得ない願いがあ…

ER緊急救命室Ⅱ<セカンド・シーズン>

インターン、レジデント、スタッフドクターと。経験を積み、責任を負うごとに複雑化する組織のリアリティー。現代医学の限界と無力さに打ちのめされながら、不条理とも言える社会システムの残酷さに義憤を募らせながらも、“大人”になっていく彼らの群像。そ…

失われた週末

なりたい自分になれない自分の、如何ともしがたい理想と現実のギャップが人生の苦悩というものならば。酒や女や“銃”への誘惑に埋め合わされる悪夢や恐怖の風景にこそ、彼の人生は意味づけられる。人生の悲劇に溺れ、その絶望を“書くこと”でのみ生き続けられ…