2020-08-30 さびしんぼう 映画ポエム 混在する夢とうつつ、現在と過去。生者と死のイメージをモノクロームの影に漂わせながら、交わるはずのなかった恋の“さびしんぼう”がファインダー越しに見つめ合う。 「A MOVIE」と冠されたそのフレームの中で、まさに映画の虚構性にのみ語りうるロマンチックに、重なり合う甘美なメロディーはショパン「別れの曲」。セピアに輝く尾道の光景に、誰もがいつか通り過ぎたはずの青春という名の原風景を──夕陽に照らされた彼女の横顔に、傷ましくも輝かしいわが少年の日日を思い出すのだ。 ☆3.8