散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

さびしんぼう

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混在する夢とうつつ、現在と過去。生者と死のイメージをモノクロームの影に漂わせながら、交わるはずのなかった恋の“さびしんぼう”がファインダー越しに見つめ合う。

「A MOVIE」と冠されたそのフレームの中で、まさに映画の虚構性にのみ語りうるロマンチックに、重なり合う甘美なメロディーはショパン「別れの曲」。
セピアに輝く尾道の光景に、誰もがいつか通り過ぎたはずの青春という名の原風景を──夕陽に照らされた彼女の横顔に、傷ましくも輝かしいわが少年の日日を思い出すのだ。


☆3.8