2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧
未知との遭遇×ジョーズといったスピルバーグ的スペクタクルを表層に、深層に映画についての映画を語る。 カメラを向ける暴力性、本質的に見世物である映画の残酷性を、らしく“幻の黒人スター”を背景に、寓意に富んだ、謎に満ちたホラーに展開する。黒い肌と…
“FPS”なる主観映像の、無料のPCホラーのようなクオリティに気を失いそうになるが、恒松祐里を一人称とする第二部からが本章。画面映えするヒロインと、半ばコメディと化す小気味よさがB級らしく救われる思い。サトエリの異様なほどの下手な芝居が回収される…
自らの病状を語る子どもたちの明晰なこと。すでに運命を受け入れたかのような達観した面持ち。人より早く命と向き合わざるを得なかったばかり、人より少し早熟でなければならなかっただけ。それがすなわち不幸とは限らない。不運であって不幸ではない。と、…
ガキの悪ふざけがもはや命がけのスタントに。年齢を重ねる分だけ純度を増すバカの境地。いつまでもウンコチ◯チ◯で笑い転げるおっさんの醜態に呆れつつも、心のどこかで羨ましくもある。 ☆2.9
もろ“Lust For Life”なフレンチロックのビートがラフマニノフ、ピアノ協奏曲第2番のクライマックスへと転ずる。トレスポオマージュの逃走劇にはじまる不良少年の街角ピアノ。 好きなことを見つけられる才能と、道を指し示すべく、師たる大人の存在に出会うこ…
「世界は素晴らしい」 大人が子どもたちに示すべきたった一つのメッセージ。 ☆3.0
“小さき者の運命が世界の未来を決める” 北欧の雪景色に映えるパステルカラー、ドリーミーなSEが断続的に鳴る浮遊感。舌ったらずなフィンランド語が可愛らしいオンネリとアンネリのおとぎ話は続く。でも、ちょっと大きくなった彼女たちの“お人形遊び”には、差…
娼婦に聖女を、ミューズとしての女優を重ねるロジカルな女性史観が、アンナ・カリーナの息遣いにダンス、さらには大粒の涙を流す肉体より魂を見つめるカメラのクローズアップに結実する。あるいはゴダールのおのろけ。 またやってる。始めからずっとやってる…
人生は悲劇である。との、諦観に宿るコメディの強かさ。その限りにおいては、霊と交信するなどと馬鹿げたスピリチュアルも、一種の救済として機能するアクロバティック。 夜明けと共に希望の光が差し込むラストシーンとは、なんと月並みな表現。だが、これぞ…
ミカサとユミル。まごうことなき愛と憎しみの戦争。愛ゆえの憎しみに勝るさらなる愛の温もりを知るまで。救済に導く自己犠牲的なその、壮大なラブストーリーの一編であった。 正直なところ、期待していたようなカタルシスではなかった。でも、だからこそのエ…
“恐怖は美なり美は恐怖なり” 厭世的に故郷を彷徨う『鬼火』のそれとはまるで対照的に、夏至は太陽の沈まないパリの街を散歩でもするように、死への恐怖とは生への欲望を、新たな出逢いに希望を見出す逞しさ、美しさを放つ女の哲学。 劇中劇のサイレント映画…