散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

5時から7時までのクレオ

“恐怖は美なり美は恐怖なり”

厭世的に故郷を彷徨う『鬼火』のそれとはまるで対照的に、夏至は太陽の沈まないパリの街を散歩でもするように、死への恐怖とは生への欲望を、新たな出逢いに希望を見出す逞しさ、美しさを放つ女の哲学。

劇中劇のサイレント映画。トレードマークの黒眼鏡をセーヌ川に投げ捨て、“わが恋人”アンナとキスをするゴダールのなんてチャーミングな、幸福な。ヌーヴェルヴァーグ、パリの季節。


☆3.8