散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

千と千尋の神隠し

この世は欲望に汚れし苦界、あるいは絶望の国ニッポンをそれでも生きていかねばならない子供たちへ。残酷なほどの真実を嘘偽りなく描いてしまった国民的映画の、そのメッセージを誰よりも正しく、当事者性をもって受け止められた世代の一人。 幼心より、大人…

2021年の映画生活ベストテン

ピアッシング“これぞ恋愛の本質を突き刺すような攻守の反復” ラスト・クリスマス“素晴らしき哉、人生を謳うクリスマスムービーをあなたに” 僕のワンダフル・ライフ“永遠の静寂に、ぬぐいきれない悔恨もすべて愛おしく思う” メリー・ポピンズ“Supercalifragil…

ピアッシング

村上龍が「原作者として120%満足している」ならば、私はミア・ワシコウスカの新たな魅力を引き出す──あるいは仮面を剥ぎ取る──怪作として120%の興奮を覚えている。 目元の深い皺は時に老婆にも、やはり妙齢の美女にも、まさか少年のようにもその横顔をクロー…

イカリエ-XB1

(同じくスタニスワフ・レム原作)タルコフスキーの『惑星ソラリス』よりも前、キューブリックの『2001年宇宙の旅』よりもさらに前に生み出された先駆的デザインと言うに納得の夢見心地。半覚醒の陶酔感。寝てしまう映画が必ずしも駄目な映画であるとは限ら…

インタープラネット

どこぞ砂漠や荒野のロケ地が、何光年と先の惑星(衛星)のそれに見え始めればそれがすべて。 世界の見え方が変わる映画と、見たこともない世界を見せてくれる映画に大別されるならば、SFは後者を特権的にも映し得る。 『オデッセイ』みたいなサバイバル、『2…