散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

スタンド・バイ・ミー

懐かしさにはいつも切なさが混じる。すでに遠く過ぎ去りし日々の思い出。その記憶も少しずつ色褪せ、いつかは消えてしまうのだろう風景は儚く、ゆえに美しい。 時は流れゆく。出会いはいつかの別れを意味する。少年は無垢を捨て、大人にならなければならない…

ザ・ボーイズ

スーパーヒーローものかくあるべし、現代アメリカの政治状況を下敷きに絶対的正義を疑う。そのリアリズム志向が行き着く先のグロテスク。 いかにしてヒーローはヒーローたりえるかという性善説的な問いは覆され、ヒーローもまた一人の弱き人間であるという原…

トレイン・ミッション

平穏を切り裂く悲劇の往来。またしても、不条理な運命に翻弄されるリーアム・ニーソンの戸惑い、怒りの暴発、そして逆襲へと向かう──その憂いを帯びた瞳には、どうしたって虚実重なる喪失の痛みを感じざるを得ない。 ミステリーとしての瑕疵を補って余りある…

サスペリア

耳に纏わりつく声にならない声は、少女の“溜め息”か、ケモノの咆哮か。やがて断末魔の叫びと深紅の地獄絵図に血塗られるまでの、不穏に漂う音楽のような。神か悪魔を呼び出す呪文、あるいは“母”への祈りのような。 白のバレエシューズを脱ぎ捨て、裸足で踊る…