散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

2019-02-22から1日間の記事一覧

ストレンジ・デイズ/1999年12月31日

世紀末の狂乱と未練。世界が終わる日にこの人生も終える。最期の時は、自分が自分であるための誓い、この愛に捧ぐ。 今はもう拒絶され続ける愛。しかし誰にも否定し得ない幸せがあった愛。人生の欠片を拾い集めた“ディスク”に夜毎浸るのは、色褪せる思い出と…

フォーエバー ~人生の意味~

贅沢とユーモアですぎさる時間。ふと思う、そんな生活の退屈や後悔もまた一興 。誰もが山あり谷ありの冒険に満ちた人生を歩むべきだなんてことはなく、平坦な道をてくてくと歩き続ける穏やかな日々の繰り返しも悪くないものである。きっと、少し不満なくらい…

トータル・リコール

夢の中でも“夢”を見ている。いつかの“彼女”の影を追って、眠りの中では自分が主人公の大冒険へと旅立つ。 突飛なシナリオにも身を任せてハッピーエンドのキスを目指して。なのにどうして、夢は必ずエンドロールを待たずして覚める。いつも何かに追われる悪夢…

イグジステンズ

客観的事実とは、みんなで見る幻想に過ぎない。“すべての現実はヴァーチャルである”現実は作られ、演じられることでの産物である。 フィクションとセックスに生の体験を求め、その幻想の中でしか繋がり合うことのできない人間という生き物。ならばその甘美に…

ゲーム・オブ・スローンズ 第六章: 冬の狂風

嘘偽りのない言葉を告白し、罪を贖う者たちに勝利の女神は微笑む。信じるは、善なる心が報われ、悪しき行いが罰される普遍の真理。それは神の介在しない人の道である。 大戦前夜。信義の名の元に結集する力。一気に収束を見せる物語に、炎と血に染まる“ゲー…

ゲーム・オブ・スローンズ 第五章: 竜との舞踏

この世の因果律が罪人に牙を剥き、終わりのないゲームは章を新たにする。一盛一衰。そしてまた長き夜が続く。 まやかしの二者択一に、都合のいい現実を踏襲することを否定する若人たちの穢れなき信念に反し、そのストーリーボードはまだ白紙のまま。脱構築の…

Re:LIFE リライフ

雛形通りの三幕構成に、まるでエッジーではないハートウォームな予定調和。一見、陳腐に見えるおとぎ話も、衝動に正直な物語であれば、あるいは映画に誠実な映画であるのなら、それは人生に必要なコメディの一編なのです。 大海に迷い、暗闇に沈んでしまいそ…

ゾンビ・ガール

アントン・イェルチン×ジョー・ダンテ節が光る、ハッピーハロウィンムービー。 クラシックホラーへのオマージュがそこかしこに、まさしく“死したる者に哀れみを、生ける者には安らぎと幸せを”夢見させる、この世の地獄の楽しい悪夢。 三角関係の痴情のもつれ…

オートマタ

2044 A.D. 早晩、たかだか“凶暴な猿”は自然のサイクルからその姿を消す。人類も神を殺して生き存えたように、生物はあまねく、自らの“プロトコル”を書き換えて適者生存の未来へ向かう。 ☆2.9 (2018/09/23)

パラサイト・クリーチャーズ

私的偏愛ゾンビホラー『ベルリン・オブ・ザ・デッド』の監督作品。いかんせん未知なる“物体X”の造形がZ級なのが辛いが、何にせよ、世界の終わりを暗示するエンディングには心を和ませる。 ☆2.8 (2018/09/23)

ゲーム・オブ・スローンズ 第四章:戦乱の嵐-後編-

闇、濃くなりし今。偽りにも純粋な善が。捻じ曲がった正義には邪悪が。紐解かれていく真実が愛の疵を残して、新しい世界に生きる者と古い世界に死ぬ者を別つ。無慈悲なまでのこの世界の道理が、その本性を露わにする。 ★5.0 (2018/09/21)

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN END OF THE WORLD

「天国の奴隷」ならば「地獄の自由」を。戦い続ける限り負けることはない。君の中にある英雄を忘れるな。 ナルシスティックなカタストロフへの誘惑も、いくつもの青臭いパンチラインも、あれかこれか、ではなく、あれもこれもを守ろうとする夢想家の、何も捨…

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN

自意識にのぼせ上り、檻の中の安寧で大言壮語を吐く憐れな子ども。残酷な世界を救うどころか、たった一人の大切な存在すら守ることのできない泣き虫の狼狽が、いつ始まるやもしれぬ絶望の序曲に重なる。 Leap of faith. やるか、やらないか。やるなら今だ。…

水曜日のエミリア

もう訪れることのない幸福の残像で未来は見えず、涙に暮れる人生であっても、悲しみの狭間に愛の瞬間は垣間見えるものだ。生きていれば。もう一度、生き直すことを選ぶのならば。そう悪いことばかりでもない人生もありうるのだろう。過去を受け入れないこと…

クリード チャンプを継ぐ男

固く握り締めた拳がリズミカルに、ミットを打ち鳴らす音はフィリー・ヒップホップと混ざり合い、この新たな変奏曲はラスト、ついに流されるあの旋律をもって巨星を継ぐ褐色のライジングスターは誕生する。すでに歴史が過ぎ去った時代に生まれた、何者でもな…

FARGO/ファーゴ シーズン2

タチの悪い冗談みたいな“作り話”。感情移入を許さないフザけた人間たちが善悪のトチ狂った磁界に引き寄せられ、次々と鮮血を流して死んでいく様をただ傍観する、悪い夢でも見るかのように。 ★3.0 (2018/09/15)

ゲーム・オブ・スローンズ 第三章:戦乱の嵐-前編-

「物語」の道筋を照らすはずの灯火はまた一つ、二つと消え、夜明けは再び暗闇に飲み込まれる。時に吐露される穢れなき言葉、交わされる真心も虚しく、愛の濁った血がやはりすべてを洗い流してしまうのか。 さらに濃くなりし闇、その向こう側で。壁の向こうに…

ゲット・アウト

核心に至るまでのいくつもの暗示が醸成する不穏に精神はいたぶられ、一種の催眠状態に見せられる恐怖の、“沈んだ地”のイメージのなんと息苦しいこと。映画には終わりがあることに救われる。本作のウィットなそれもよし。 ☆3.7 (2018/09/07)

TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ <セカンド・シーズン>

振り返れば過去に追われ、闇が延々とその身を纏う。覚めぬ悪夢に引きずりこまれる終着も自らが選んだ人生だったか。嘔気のする暗渠から届かぬ暁光を見上げる。 ★3.5 (2018/09/06)

フィリップ・K・ディックのエレクトリック・ドリームズ

外宇宙にもしもの世界が広がる"SF"という装置は、愛の欲望や、罪の罰や、恐怖、ノスタルジーといった潜在意識の赴くままに、「夢」と呼ばれるあり得べき別の人生を内宇宙に存在させる。そして現実は揺らぎ、アイデンティティの境界、ひいては人間の定義まで…

TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ

神のいるところに邪悪は巣食う。闇の支配する夜空を見上げれば浮かぶ点と点を線で結び、光の物語を視る男。人を寄せ付けず、野暮な科白など一切受け付けない高尚な御託を並べ立てては、真実の証明に狂う病者の眠らぬ暁闇。カタルシスなき悪夢の連鎖に一つ、…

ゲーム・オブ・スローンズ 第二章:王国の激突

「愛」という名のエゴという、極めて人間的な原理が善も悪もない混沌の闇を一層濃くする。しかし壁に映る影が光の僕であるならば、まだ見ぬ希望の灯火が何処かで必ずや揺らめいていることだろう。 ★4.0 (2018/08/30)

ゲーム・オブ・スローンズ 第一章:七王国戦記

血で血を洗う権力闘争の剥き出しの欲望と鬩ぎ合いし、信じるにたる人間の尊厳とは。かくも無慈悲に破れたり。然らば、「氷」のように冷たく凍りつかせた瞳。復讐の「炎」は地獄のように我が心に燃え。 ★4.5 (2018/08/28)

ザ・テラー シーズン1

音もなく忍び寄る怪異。抗えない死のグロテスク。 ★1.5 (2018/08/25)

高い城の男 シーズン2

いくら抵抗を企てようとも大局を覆すには至らない。大いなる運命からは逃れられない不条理にこそ、あり得たかもしれないもう一つの世界の幻想、或いは虚構より覗かれる“現実”の諸相に希望を託す。 ★3.0 (2018/08/22)

高い城の男 シーズン1

史実を記録したり、戯画化して描き出す現在、過去。未来までも見通すそれは、あり得たかもしれない世界の可能性を映写する。光と影に見出される真実の希望や、絶望に当てられた人生は後戻りできない。信じるにたる「映画」には、その世界を一変させる何かが…

ウエストワールド<ファースト・シーズン>

筋書き通りの「物語」をそれでも演じ続ける人間の性。自己疑念を抱き、人生に意味を探し求める人間にとって慰めとなる悲劇。すべては苦しみに連携する記憶の迷路を彷徨い歩くのは、この苦痛だけがこの美しい世界との絆だから。 ★3.5 (2018/08/18)

アメリカン・ゴッズ シーズン1

信じるに足る「物語」への、信仰。 一人の男を救っては弄ぶ神々の、戦争。 ★4.0 (2018/08/15)

クソ野郎と美しき世界

逃走。喪失。再生。 現実とファンタジーの入り混じる、アイドルという名のドキュメント。彼らの、映画のような人生。その新たな旅立ちを告げる「新しい詩」と、ドラマ仕立ての冗長に過ぎるプロモーションビデオ。 宣言通りの“価値あるゴミ屑”だと思う。見上…

ふたりの男とひとりの女

千変万化、ジム・キャリーの独壇場にバカ笑いしてしまうのも、とびきりキュートなレニー・ゼルウィガーとのロマコメであわやうっとりしてしまうのも、アンチテーゼに貫かれるコメディの眼差しゆえ。ファレリー兄弟印の障害者ネタに担保されるように、誰も彼…