散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

2019-02-22から1日間の記事一覧

砂上の法廷

無意識にまたは意図的に、記憶は少なからず改竄されていると見て然るべきものである。事実に沿って都合よく脚色される各人の証言をすり合わせて、言葉は合理的な文脈に回収されていく。しかし誰もがフラッシュバックに秘めたる瑕疵に目を瞑り、嘘に嘘の積み…

パディントン

異国より長い船旅を経て、大都会ロンドンの駅に降り立つ「くまのパディントン」の姿には、どうしたって、“暗黒の地”を逃れてやってくる移民の寓意が見て取れる。何でもないカルチャーギャップ“アクション”コメディが、決して無関係でない私たち自身の物語へ…

王様のためのホログラム

透き通ったサンゴ礁の海を泳ぐ“ラブシーン”がとっても綺麗で。格別の余韻を残す。この映画のすべて、それで十分なんじゃないかな。部屋に飾られた一枚の絵画のように。さりげなく日常の隅っこを彩るような、そんな映画。歪な構成に、どこに向かっているのか…

ワイルド・スピード ICE BREAK

前作スカイミッションに続き、エピローグを除いては全くの意味不明、荒唐無稽なアクションの連続に唖然とするだけのシリーズと化してしまった。 どこまでもファミリーの一員としてファンでいるつもりだったのも、それはジャスティン・リンの描く“ファミリー”…

ブレードランナー 2049

愛せずにはいられない。愛を求めずにはいられない。愛するためには他人同士、永遠の孤独であらねばならず、他人であればいずれ別れねばならない運命を孕む。失うことを約束された安らぎを、それでも至上の命題として追い求める人間の性。無情なプログラムの…