散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

パディントン

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異国より長い船旅を経て、大都会ロンドンの駅に降り立つ「くまのパディントン」の姿には、どうしたって、“暗黒の地”を逃れてやってくる移民の寓意が見て取れる。
何でもないカルチャーギャップ“アクション”コメディが、決して無関係でない私たち自身の物語へと繋がるのは、コメディが風刺に通ずる文化の豊かさであろう。

排除によって守られるコミュニティの内を向いて、住む世界が違うからと見て見ぬ振りを続ける誰かさんは私たち。誰かが手を差し伸べなければならない誰かは、私たち。で、あればと。
グローバル都市ロンドンのおとぎ話に現代の理想を謳うのである。

でも、そんなメッセージに堅苦しさは微塵もなく、みんな楽しいファミリームービー。

ニコール・キッドマンは近年にないはまり役で楽しい怪演。
元旦那へのオマージュ…なのかバカにしてんのか、ミッション・インポッシブルごっこは必笑。


☆3.3

(2018/08/09)