散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

ストレンジ・デイズ/1999年12月31日

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世紀末の狂乱と未練。
世界が終わる日にこの人生も終える。
最期の時は、自分が自分であるための誓い、この愛に捧ぐ。

今はもう拒絶され続ける愛。しかし誰にも否定し得ない幸せがあった愛。
人生の欠片を拾い集めた“ディスク”に夜毎浸るのは、色褪せる思い出とその悲しみを消さないために。そんなことをして痛みまでも愛おしく繫ぎ止める男のナルシシスティックな、その愛の物語にもやがて終止符は打たれる。

汚れを知らないロマンチスト。
何にも知らない愚か者のドジでマヌケな活劇が、世界が終わって始まる夜に、その愛の、その人生のクライマックスを飾る。

ややもすれば幻想は麻薬のように、時に永遠の夢に溺れさせる。
ただし映画は絶対に終わる。120分のカウントダウンを少しくらいは過ぎようとも、終わる。一面に広がる電気信号は落とされ、明々と眩しい天井の灯りが四方を照らしては、また新たな現実の始まりを強いてくるのだ。


☆Review

(2018/10/10)