散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

バック・トゥ・ザ・フューチャー

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自分の行動次第で「未来は変えられる」という希望と、「在りし未来が失われるやもしれぬ」という恐怖の狭間に立ち尽くす僕にとって、それは僕の映画に違いなく、その葛藤をあまりに爽やかに、軽やかに、“愛の力”で突破するマーティ・マクフライという主人公像への憧れは、いくら年を経ようとも変わることはない。彼、“ラッキーマン”ことマイケル・J・フォックスが、幼い日々からの僕の心の永遠のヒーローなのだ。

父と母の恋のキューピットに奔走し、元いた世界に戻る。それだけのことがこんなにも大層な冒険活劇となりえるのは、それが切実な、自らの存在証明を意味するからに他ならない。彼らの幸せが僕の幸せである、その逃れようのない“運命”。幸せな母の姿と、父への尊敬が息子の人生に救済をもたらす。そして人生は続いていく……そんな祈りにも似た物語が、どんな不可能も可能とするサイエンス・フィクションという虚構に託されている。
思い出と願いの中でのみ繰り返された物語が、つかの間、現実の眼前にめくるめく繰り広げられるのだ──。

Happy Father's Day...!
デロリアンに乗って、会いに行くよ。


☆4.7