いつの間にか薄ぼやけてしまう未来への視界に、新たな幸せへの幻が映り込む。
どこかで会った気がする“あなた”は、いつか失ってしまっていた情動。
過ぎ去っていく時の、その一瞬にも、切なさと戸惑いを感じ取ってしまう彼女。
いくらかは満たされていても、ほんの少しの心の隙間を埋めようとする彼女。
大切な人を裏切らないために自分の心を裏切れないし、そうすることを選んだ彼女を責めることはできない。
「不安でいることが怖い」「怖いと思うこと自体が怖い」
“どっちつかず”の不安から逃れるべく、女は母に、男なら父になろうとするのかもしれない。
それまでは、“物足りなくて当然の人生”への抵抗。
悦びと虚しさを交互に、同じ場所で周り続けるスクランブラー。
☆Review
(2016/08/30)