散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

ギヴァー 記憶を注ぐ者

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物語に紡がれる。数えきれないほどの、確かにこの世界に存在した“愛”の記憶。表裏一体にある残酷の、苦悩の、憎しみの、痛みの、喪失のフラッシュバックを一筋の涙に閉じ込めて──。

きよしこの夜。“愛”が未来を灯す希望の言葉でありますようにと、聖なる夜に願いをこめて。

リンゴを手に取り、“未来”をその腕に抱き、無垢は再び楽園を出る。
悪魔の囁きか、いや人間が人間たる所以に湧き上がる衝動と、反逆の意志をもって。檻の中の理想郷を捨て、愚かしくも美しい混沌の世界に、真の自由を渇望する。

差異に溢れ、溢れる色彩、音楽に満ちた美しき世界──悲しみに満ちた世界で。
物語は、それでも生きることの勇気、生き抜くための強さを少年少女の幼き記憶に授ける。


☆4.1