散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

ホームカミング

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たとえそれが苦痛と不安と後悔の日々であったとしても、過去を奪われることは未来をも奪われることに等しい。

記憶の空白はいつまでも人生に暗い影を落とし続ける。悲劇なき人生は、つまりワイドスクリーンにありうべき世界の風景の半分を失う。

あるいは不都合な真実を秘密の箱に閉じ込めたとしても、深層心理に刻まれた悪夢は知らず知らずのうち、彼らの現実を脅かす。

消去されるはずのない。克服も根絶もない。忘却のときは訪れない。ゆえに悲劇はロマンティックなる物語を生みだす。


★3.5