キャスティングの妙。ありきたりなジャンル映画のB級プログラムを、レイフ・ファインズの品格とアニャ・テイラー=ジョイの眼差しがウェルメイドな一流コースメニューへと仕立てあげる。古典ミステリーのような深い味わいに、頓知のような鮮やかなオチの乙なこと。アートやエンターテインメントに内包する作り手と客の共犯関係や、“食”をメタファーに残酷な社会の主従関係を描く風刺的な“隠し味”がほどよいブラックなスパイスを効かせる。役者のアンサンブル、物語構成、自己言及的なテーマ性までも包括する計算の行き届いた職人技に、星3つ(爆死)。
☆3.8