散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

東京ゴッドファーザーズ

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写実的に描かれる街並み。その実、室外機が驚いていたり、建物が泣いていたり、笑っていたり、サブリミナルな仕掛けが背景に施される東京散歩。虚構性、リアリズム、映画の“嘘”と“本当”がいっしょくたになって滲み出る情緒。

「健気とさえいえる真面目な努力がもたらす結果が傍目には愉快に見える」という構図に、“偶然”のつるべ打ちが「御都合主義の出来すぎた話」にドライブを効かせ、“実写”映画的活劇の大団円へと邁進する。

今敏の心眼は、新宿中央公園のブルーシートにはじまるホームレスの物語に、聖夜の“奇跡”を与える。
寒い冬に心を温めるクリスマスプレゼント。

‘クズにはクズの死に場所があるよ
クズにはクズの生きるとこがある
この空の下で何とかなりゃいい
でも 忘れられないことがいっぱいだ
お前と俺とは赤の他人だ 
さぁ カリブの海でラムを一杯やろう’
「No.9」 - 鈴木慶一 with ムーンライダーズ


☆Review

(2016/08/31)