シガー・ロスの魂から絞り出されるように切実なボーカルが、涙腺を刺激する。
ウェディングという最も祝されるべき宴は、不都合な真実が露見される場に相応しい。
顔の表情が読めないほどに近付き過ぎるカメラは、溢れる涙の粒を繊細に、瞳の動きをダイナミックに、その痛みを雄弁に語らせる。
ズームアップするほど映画は悲劇を物語るが、愚直な観察者はその深淵に照らされる希望の光を見つめる。
ミニマムな人間ドラマに、現代社会が抱える大きな命題を並列させるスザンネ・ビア。
作家性は被写体との距離に表れる。
☆Review
(2016/08/28)