“あらゆる夢の中で最も麗しい夢への記念碑”
ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」が轟く。
鬱病期のトリアーが構想したユートピア。
既に精神が崩壊し、不幸のどん底にある鬱病者がディザスターにパニックすることはなく、寧ろ安堵を覚えるだろう。
煩わしい社会生活は消え失せ、地球滅亡までの、生から死へのシンプルな世界の始まりは、憂鬱の終わりを手助けする。
反社会的な共感を声高にするのは憚られるが、世界の終わりは、最大のカタルシスで、究極の癒しだ。
これは、ハッピーエンドである。
☆Review
(2016/08/30)