散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー

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ストーリーは目で物語られ、視線の交差がドラマを生む。
見つめ合った瞬間、恋の芽生え。はじまりはボーイミーツガール。

得てして、少年少女の“純愛日記”には、嘗て同じ季節を通り過ぎた大人たちの現在が紐付けられる。
「この世は孤独な人間のために出来てはいない。一度は希望を抱いたが、でもそれは幻想だった。みんなが幸せに暮らせる日が、きっといつか訪れると思っていたが、実現しなかった。夢は破れた。聞いているか?」
絶望に涙を落とす者、俯き嘆く者、途方を眺める者。そんな迷子の大人たちへ、彼ら子どもたちは優しげに同情の眼差しを送る。

その道はいつか行く道。
青春の余生、打ち終えた花火の残像を未だ追っている無様で滑稽な大人たちへ、愛を。
ロイ・アンダーソンが26歳で撮り下ろした長編デビュー作。

この一瞬があれば生きていける、と思えるような純愛。と、その先。


☆Review

(2016/09/09)