散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

ラースと、その彼女

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26歳の心優しいラースは、一人孤独に暮らしている。
優し過ぎるという、弱さ。
人を傷つけることに怯え始めると、他人を遠ざけ、自ら孤独を選んで生きるようになる。
元宣教師でブラジルとデンマークのハーフの新しい恋人ビアンカは、リアルドール。体温を感じない、決して心を痛めない存在。

ビアンカの存在を受け入れ、愛情いっぱいに見守る田舎の人々。
町ぐるみで通過儀礼に協力し、成人の日に立ち合ってくれる優しい世界。
小さな劇場では、あちらこちらで鼻をすする音が聞こえて、スクリーンの中も外もハートフルに包まれた映画体験だった。たとえ、明かりがつくまでの絵空事でも。

大人に成るということは、傷つくことを厭わないこと。
傷つき傷つけることに恐れるよりも、触れた手の温もりを感じること。手を差し伸べること。
子どものボクに、お別れのキスを。


☆Review

(2016/08/30)