無条件に与えられた“救世主”の称号。その特別な存在としてのアイデンティティーは否定される。
仮想現実から覚醒しても、尚立ちはだかる虚無。
自由意志の積み重ねの結果に立っているはずの現在地が、予め設定されたプログラムによる道筋の途中に過ぎなかったとき。
大勢の支配に抗い、カオスを生み出す異端さえ、完全な調和を維持するためのアーキテクチャの一部であった場合。
“因果関係の奴隷”である我々の唯一の安らぎは、その理由を理解すること。
そして、自己の拠り所となるものは、やはり愛。
たとえ世界を見捨ててでも、一人のひとを救おうとする自我。
☆Review
(2016/08/27)