散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

2019-02-21から1日間の記事一覧

2048:ノーウェア・トゥー・ラン

Tears in rain. 「人間よりも人間らしく」 (2018/08/06)

2036:ネクサス・ドーン

盲目。 「エデンの園を再び我が手に」 (2018/08/06)

ブレードランナー ブラックアウト 2022

白いハト。 「大義のための死は……」 ☆3.2 (2018/08/06)

デンジャラス・デイズ/メイキング・オブ・ブレードランナー

『メカニズモ』から『デンジャラス・デイズ』、そして『ブレードランナー』へ。タイトルも変われば、脚本も企画段階から一新され、室内劇は大きく世界観を広げて、その鮮烈なヴィジュアルイメージをもってSF映画の金字塔と評されることになる作品の撮影はつ…

ブレードランナー ファイナル・カット

もはや頬を伝う涙も降りしきる雨とも判別はつかず。何処からともなく乱反射する照明に目を伏せ、夜のとばりにいつか見た夢の続きを。 いずれ死にゆく運命を知って、なお生き続けなければならないことの絶え間ない恐怖よ。望まずして創り出され、天上人に仕え…

特捜部Q キジ殺し

第一作『檻の中の女』が、一つ一つの手掛かりが一歩、また一歩と真相に近づいていく堅実なミステリーであったように、同じく今作においても、その軽妙な捜査の語り口は変わらない。また、はみだし刑事のバディムービーとしてのチャームもなおのこと、さらに…

サンクタム

呼吸のできない、光のあたらない“聖域”。人跡未踏の領域も深海と洞窟と、残るは地球を飛び出し宇宙の彼方へと……人知の及ぶ限りはそんなところだろうか。 限界に挑む“冒険”、あるいは生還することそのものが壮大なドラマなのだから、陳腐な父子の物語など挟む…

ドリーム

今となっては、含蓄もなければテーマ性にも相応しいとは思えない『ドリーム』という邦題はともかく、寧ろ、『私たちのアポロ計画』という副題は悪くなかったのではないかと思わなくもない。 マーキュリー計画なくしてアポロ計画があり得なかったように、今日…

LOGAN ローガン

ウルヴァリン、有終の美。X-MEN旧三部作を含む、凡作続きのウルヴァリンシリーズにあって至高のレクイエム。それは古き良きアメリカ映画への鎮魂と再生のようでもあった。 正義の暴力性と、ゆえに愛に招かれる悲劇性。正義のヒーローの陰のチャプターをまざ…

ベイビー・ドライバー

ザッツ・“トゥルー・ロマンス”!それも、俺たちの、新しい。 “ベイビー”・タランティーノこと俺たちのエドガー・ライトが、ついに俺たちのオタク趣味をみんなのエンターテインメントにまで広げてみせた傑作。サンプリング時代、ウォークマン経由iPod世代、テ…

スパイダーマン ホームカミング

父性への無邪気な憧憬と、いつか対峙すべきその二面性。少年が一人前の大人へと生まれ変わるために、避けては通れない挫折と超克のイニシエーション。 ジュブナイルの怪作『コップ・カー』の精神的続編とでも言いたくなるような、新鋭ジョン・ワッツによる成…

マグニフィセント・セブン

不条理なのが現実であると。まるで“悪魔”のような、無慈悲なまでの権力を前にしては、抗う術もなく屈服する他ない世の中なのだから。エンターテインメントの世界くらい、勧善懲悪が果たされてもいいではないか。 正義の名の下に、戦いのための戦いに身を捧げ…

ムーンライト

忘れ得ぬ完璧なラストショット、それだけでもう名画に違いないのだ。そういう映画は終わっても終わらないから。目に焼き付いた鮮やかな光源は、これから繰り返し再生されるであろう記憶の欠片となるのである。 涙の水滴に溺れそうな月夜にきっとぼくは、“ブ…

ダンケルク

スピルバーグが娯楽作品と交互に政治的な作品を撮り続けるように、時代を代表するヒットメーカーは、映画作家としての価値ともう一つ、映画メディアそのものの価値を示す使命を担っている。そういった社会的な作品は、好きこのんで見たいわけではなくとも、…

ライフ

よもや自分たちが地球の支配者であることを信じて疑わず、早計にも次なるフロンティア、宇宙の生命体へと触手を伸ばす人類の驕り。あるいは無知ゆえのあくなき好奇心。人類の性とも言えるこの欲望がもたらした進化と繁栄の歴史には、常に滅亡の危機が紙一重…

ワイルド わたしの中の獣

人間の人間たる所以。得体のしれない本能的衝動を飼い慣らすことでその一員となる社会から脱走する“美女”。理性の放棄、あるいは退行がもたらす自由とは束の間のファンタジー。 人間らしさと同時に女性らしさという首輪も外された“獣”が浮かべる恍惚の笑み。…

ワンダーウーマン

時代の要請に応えるように、まさにワンダーなヒーローがここに誕生。可憐で凛々しく、無垢とエレガンスを併せ持ったガル・ガドットの、その圧倒的な身体性には誰もが魅了されるところ。 そして何より、世界中の戦う少女たちのアイドルとして。彼女たちの“今…

猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)

人類史と括ってしまって差し支えないだろう、“言葉”によって翻弄される者たちの愛と憎しみの終りなき連鎖。歴史は繰り返される。永きに渡る争いの中にあって、語り継がれる一編の英雄譚。 予想外に重厚な筆致で描かれた一代記の終局である。西部劇、戦争映画…

ピッチ・パーフェクト

学園モノとお下劣コミカルなガールズハードコアのマッシュアップだが、もはや10年代のベタとして受け入れられる青春ムービーのこのノリな。 古きを新しく再構築するサンプリングの妙に唸らされるようなことは一切なかったにせよ、王道のストーリー展開に畳み…

おとなの恋の測り方

植え付けられた理想を疑うこともせず、甘いロマンチックな恋にすら他人の視線を介入させる。何もかも、幸せの測り方も他人に委ねる人生でいいはずなかろうが、傷つくことは避けられる。抑圧にまみれて、自らを欺いて、“皆”と同じ常識に拘泥する。自己防衛の…

メッセージ

言語が思考を掌り、思考が知覚を体系化する。結論は前提に先んじて、未来は現在を追い越して存在している。未知との遭遇はいつも先んずるイメージの具象化でもある。 時の流れを鳥瞰するように、過去と未来を等価に認識しながら、ただし死を内在するこの肉体…

エイリアン:コヴェナント

至高の造形美である謂れとして。交配におけるグロテスクな禍々しさと、神々しいまでの誕生の恍惚を浴びせかけるヴィジュアルが、エロスを象徴する悪夢的な創造物のその起源を説明するに十分なものであった。 故に、創造主たる神ならざる者が、“好奇心”、愛、…

スウィート17モンスター

あー痛い。もー見てられない。一番思い出したくないあの頃の黒歴史を引っ張り出してきて、さらけ出しちゃって。ようやく最近はそれほど気にすることもなくなった古傷をわざわざ抉り返すようなこと、どうしてするかね。 実際のところは、彼女のように真っ当に…

幸せになるための5秒間

“痛みは気にしない。希望が俺を殺す” どんなに絶望したつもりでも、どうしたって残る微かな希望が私たちを苦しめる。希望が人を生かす。だけどその苦しみには底がない。苦しみを生きる日々にいつかは疲れ果ててしまう。だからヘトヘトになって世界が憎しみで…

プリンセス・アンド・ウォリアー

うんざりするほど、ロマンティッシュ。狂おしいほどに。病的なほどに。孤独という名の病が見させる奇妙な幻想。 病者でなければ理解されることもないだろう、物語の持つ救済の力を。この悲しみを。とめどなく流れ落ちる涙の意味を。それ以外、つまりこの悲し…

ラ・ジュテ

囚われのロマンティシズム。 夢か、空想か、それは意思か、否か。現実ではないとしても、幸福には違いない瞬間への時間旅行を繰り返す独りの男。探し求めたのは一人の女。 忘れ得ぬイメージの断片は交錯し、記憶の中に生きる“私の幽霊”との再会は、少しずつ…

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス

"Welcome to the frickin' Guardians of the Galaxy." まったく乗れずに疎外感に苛まれながら、これはスペースオペラだからシリーズを通して回を重ねるごとに良くなっていくのだと、なぜか無理にでも自分を納得させてきた第一作より数年の時を経て。願った通…

今日、キミに会えたら

この切なさが恋の痛みだ。このときめきと安らぎが恋の喜びだ。一生分の幸せを手にしてしまった初恋の季節。永遠に消えることのない、心の片隅にあり続ける愛の記憶だ。 視線の交差が愛を物語る。不十分な言葉のカケラを補って余りあるメッセージ。ならば、交…

スーパーマン

噂に違わぬスーパーヒーロー映画のベストカップル。忘れ得ぬ、夜空のデートシーン。まさか、こんなロマンティックなラブストーリーだったとは。 真実と正義の宿命を背負って生まれ落ちたヒーローが、守るべき約束を犯してまで、ただ一人のヒロインへの愛を選…

白夜

ケタケタと笑い出したら止まらなくなって、かと思えば急に泣き出しては手に負えず。初めてのダンスホールではそれはそれは不恰好だけど、踊ることの喜びを体いっぱいに表現して。顔を両手で覆ってあんなに恥ずかしがっていたのも束の間、その娘の上目遣いに…