今となっては、含蓄もなければテーマ性にも相応しいとは思えない『ドリーム』という邦題はともかく、寧ろ、『私たちのアポロ計画』という副題は悪くなかったのではないかと思わなくもない。
マーキュリー計画なくしてアポロ計画があり得なかったように、今日の世界は、過去の“知られざる”英雄たちの闘いなしには実現しえなかった世界である。
知力と忍耐で“前例”を塗り替え、道なき道を切り開いた。彼女たちの掴み取った“勝利”が新たな“ルール”となって積み重ねられた“歴史”の上に、私たちは立っている。
「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」
そう、ニール・アームストロングが月面に降り立った一歩が人類にとって偉大な一歩であったように。
ある黒人女性の数学者が踏み出したその小さな一歩が、人類にとっての大いなる希望となる。
『ヒドゥン・フィギュアズ』彼女たちのマーキュリー計画。
それはアポロ計画に匹敵する、いや、それ以上に偉大な功績なのであった。
☆4.1
(2018/08/02)
