厳然たる事実として、法秩序の上位には力による支配が横たわり、水面下ではその覇権を握る戦争が日々繰り広げられている。
知ろうと知るまいと、それがこの世界の真の秩序である。
力こそすべて、力こそ正義が成り立つ戦場へと一歩足を踏み入れた善良なる弱者は、為す術もなく立ち尽くす他ない。
切迫した無法地帯を前に、それまでの信念や良識は脆くも崩れ去る。かと言って悪の法則を受け入れることもできず、ただ震えている。
狼に睨まれ、怯えて身動きのとれない仔羊。スクリーンの前で戦慄する私たちのことだ。
☆4.3
(2018/06/05)