散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

特捜部Q キジ殺し

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第一作『檻の中の女』が、一つ一つの手掛かりが一歩、また一歩と真相に近づいていく堅実なミステリーであったように、同じく今作においても、その軽妙な捜査の語り口は変わらない。
また、はみだし刑事のバディムービーとしてのチャームもなおのこと、さらに今作では女性秘書と猫の“キャット”が特捜部Qに仲間入り。

ただし打って変わって、今作に期待すべきは謎解きの緊迫感ではなく、罪を犯し、過去に追われる人間たちのドラマである。

追う者、追われる者、囚われの者。
特捜部の再捜査により再び動き始めた三者三様のそれぞれのシークエンスが、すれ違いながら追いかけあう経過を我々観客は俯瞰する。すでに真相は明かされている。
再び動き出した過去がやがて収束する未来の目撃者となって、その結末を茫然と眺める役割なのである。

善も悪もあろうか、今更、社会正義なんて矜持もなかろう男が狂気なまでの情念を燃やすその未解決事件は、それが彼の復讐戦だからだ。
過去に囚われた者が未来を取り戻すために。人生はやり直せることの証明を彼ら、彼女ら、業火に焼かれる罪人の更生に託していたのである。


☆4.0

(2018/08/03)