いくら解釈に幅を持たせようが、これほどに剥き出しな、暴力的な表現から感受性を守る術はない。
いかなる論理をもってしてもコントロールすることはできない領域への支配。物語は感情移入という従属関係を用いて読者を支配し、変革する。
愛や衝動を呼び覚ます芸術。
過去と現在と虚構が交錯し、物語は記憶の空白を埋めていく。
いつしか架空の人物の架空の情動を内在化し、あたかも人生における根源的な問題がそこにあったかのようなカタルシスと、反芻するのも躊躇われるほどの恐怖を記憶している。
その正体など知る由もなく。
今はただ言葉を失い──添える言葉もないほどの親和性をもって、この芸術・映画の奴隷なのである。
物語によって救われた人生はまた物語によって縛られる。芸術によって開かれた人生は芸術に。言葉によって導かれた人生は言葉に。
ストーリーテラーを変えては章を新たに。読み手である限りの従属関係を脱することはなく、他人の物語を我がものと思い込んで辿るだけの憐れな──。
☆4.4