散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

母の残像

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死別という事故的なその衝撃。
鳴り止むことのない残響。

「ヘッドホンをすると呼吸が響く。だから息を止めると、次は余計に大きくなる」
耳を塞げば 生の実感が死の現実を思い出させる。
目を閉じれば、忘れ得ぬ瑣末な記憶の断片がこの瞬間に蘇る。

思い出を繰り返す度に、取るに足らない小さな出来事も物語の一部に記録、そして創作されていく。
トリミングの施された真実が、写真によって、言葉によってそれぞれの物語に定着する。

愛の残像は薄らぐどころか濃く。
時間の経過と共に転調を繰り返し、絶望にも希望にもなって幻は生き続ける。


☆3.8

(2018/1/02)