散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

Ink

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眠りに見る夢は夢ばかりではなく。現実の裏側にもう一つの世界は広がる。そこでは本来あるべき、もう一人の自分も存在する。

そんな中二病的妄想をあたかも形而上学的なサイエンスフィクションであるかのように仕立て上げる“ストーリーテラー”。その一編によって、千もの命も救うのだろう。
天使と悪魔や、神話的モチーフそれらしい世界観を言いわけに炸裂するマンガ的ケレンは、例えば『マトリックス』下の“タイムライン”を更新しない陳腐な表現だとしても。ますますバーチャルリアリティに親和性を持つ時代に、本当の自分を見つめ直すおとなのおとぎ話は機能し続ける。存在の不確かな、不確かな人生の“案内人”となるような物語の主人公を鏡として。


☆3.2

(2018/12/06)