散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

パッセンジャー

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人間ってのは、どうしてそれほどに孤独を恐れるものなのか。
独りであろうと二人になろうと、質は変われど孤独は孤独で解消されることはなく、繋がりを持つだけ新たな孤独が生まれてしまうにもかかわらず、幻想を追い求めることに何の意味があるというのだろうか。
この広大な宇宙で果てしなく独りぼっちであるという自明性を決して認めようとしない。

生存が保障され、暇つぶしの娯楽も完備された絶対的に安全な環境でさえ一人の孤独には耐え切れず、ただ時を刻むだけの生から死への一直線の航行には絶望すらを感じてしまう。
何も成し遂げず誰とも通じ合わない人生、人生が無意味であることを、到底受け入れられない我々である。
そして何かにつけ、すぐにロマンスに縋りたがる。

他者を知ることで繋がりの幻想を膨らまし、他者と触れ合えば、束の間、孤独は忘れ去られる。
取り戻しのきかない時間をそれぞれに奪い合う関係性をあれやこれや組み替えながら、長くも短くもない一生を全うしようと心がける。

人生、旅は道連れ。
それを運命と呼ぶか、何とするか。虚空に意味をもたらす芸術、文学や映画、言葉だ。


☆4.2

(2017/12/06)