散文とロマンティック

旧映画生活の備忘録

500ページの夢の束

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伝えたい物語があるのはきっと、届けたい人がいるから。

物語を紡ぐのは。物語に涙するのは。そんな物語なくして生きてはいけない僕たちは、伝えたい想いを物語に託すから。

これは自閉症を抱える“少数”の者たちに当てられた希望の光にとどまらない。
同じ広大な宇宙、時の流れの中で、誰もが孤独の旅人たち。繋がりを求め、ままならない愛に戸惑い、それでも分かり合いたいという願いの普遍性において、誰もが当事者たりえる物語。
誰もが本来的に、それぞれに多様な“少数”の個性を抱える人類社会にとって、目指すべき『スター・トレック』の世界観に重ねられる物語。

自身もポリオ患者であるベン・リューインが『セッションズ』に続き、“障害”を乗り越えるコミュニケーションの可能性を紡ぐ。
ヒロインには、ダコタ・ファニング。代表作『アイ・アム・サム』とも共通するセンシティブな題材への真摯なアプローチは、彼女の女優人生を美しく物語り、子役時代を終えたこれからのキャリアをも輝かせるものに違いない。


☆4.2